当局課長インタビュー。 東京都の特定緊急輸送道路沿いの旧耐震ビルは耐震診断が義務化されました。罰則付きです。マンション総会で賛成した人は処罰されない! 以下は2月号として全文公開した記事(当サイトにあり)の後半です。 《訪問インタビュー》 東京における緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する その2 東京都都市整備局市街地建築部耐震化推進担当課長 吉野敏郎 聞き手 協会専務理事・本紙編集長 宮地忠継 編集部次長 加藤久直 宮地 それでは具体的な条例の中味のご説明をいただきたいのですが、最初に先ず高さが道路幅員の二分の一以上の建物が対象ということですが、これはどういう意味なんですか。 吉野 仮に道路幅員の二分の一以上の建物がバタンと倒れるとすると、道路の半分以上が塞がれてしまう。残りが少なくとも道路の半分が確保されていれば緊急車両が通れるだろうと。 宮地 広告塔などはどうなんですか。 吉野 そういう簡易に後で付け足した広告塔のような物は、仮にそれが落ちて来ても車が通れるようには簡単に出来るでしょうということで、今回は高さの対象には入れないと。 宮地 高い高速道路はどうですか。 吉野 高架の場合はやはり上の道路を守るべき道路とすれば、今回高速道路も特定緊急輸送道路になっていますので、上から線を引くと。ただ、掘割、京橋のあたりに、高速道路でも地盤より低い所がありますけども、これは下から取ってしまうと、ほとんどの建物、平屋でも全部対象になってしまうので、やはりこれは道路面から高さを決めたということです。 罰金が科される 宮地 建物の持ち主の方は、何をしなければいけないかをもう一度ご説明頂きたいのですが。 吉野 今回特定緊急輸送道路と指定してその沿道の建物に対して三つの義務がかかるんですが、一つは去年の十月一日から施行した耐震化状況の報告の提出、これは、耐震診断・耐震改修をやったかどうかを建物概要と一緒に提出して頂くということです。まだしていない場合は、耐震改修予定を書いてもらいます。 宮地 建物概要というのは一枚の紙に書いてあるくらいで良いんですか。 吉野 診断をしていない場合はほとんど一枚です。ただ診断をした場合は少し提出書類が多くなります。それで我われは特定緊急輸送道路の沿道の建物の状況を全て把握できるということになります。診断を実施していない場合は実施してもらって、診断の結果耐震性が不十分だという場合は設計、改修に移ってもらうんですが、それは努力義務ということになっています。 宮地 義務化はできないのですか。 吉野 改修の場合は財産権の問題とかいろいろあって、義務化はなかなか難しいんですけれども、今回助成制度も拡充してますし、期限も区切ってますので、その診断結果を踏まえて自主的に改修してくれる人が多くなるんじゃないかと思っています。 宮地 それで耐震診断義務を履行しない場合ですね、何かお咎めがあるというお話しなんですが、どんなお咎めを…(笑い) 吉野 これは罰則的な規定で、罰金は五〇万以下と、命令をしても診断をしてくれない場合に公表できるという規定です。 宮地 建物名で公表するということですか。 吉野 建物も個人名が入っていたりすると少し考慮するんですけども、結果としては分かってしまうんですけどね。 宮地 罰金というのは個人が払うんでしょう。 吉野 そうですね。建物所有者個人ですね。 宮地 管理組合でも実際は各区分所有者の集まりだからそれが共有持ち分に応じて払うということですね。 吉野 はい。我われは建物所有者さんに科して行きますので、マンションの場合はそれぞれ個別に罰金を科すと。 宮地 公表はその場合はマンション名でするということですか。 吉野 まあ、そうですね。ただ、マンションの場合は、先ほどの合意形成で自分は耐震診断をやりたかったのに結果としてやれないというマンションも出てきますから、やりたいと言う人には罰金を科すことはできないと思うんですよ。だからそこで反対した人とか、耐震診断を出来ない原因者に対して罰金を科すということなんです。 宮地 法律的に原因者だけに罰金を科すことはできるんですか。その場合は記録が必要でしょう。マンションの総会で反対者がいて、反対者が多かったから出来なかったということで、反対者だけに罰金を科すには。 吉野 はい。それはやらなかった人に一律にするわけではなくて、個別のいろいろな事情があると思うので、事情に応じて罰金を科すべき時は科して行くということになります。 耐震診断の助成 宮地 耐震診断の助成をおやりになるということですが、どういう形でおやりになるかご説明を頂きたいのですが。 吉野 診断については義務化ということで、基本的には消費者負担がない制度につくってます。耐震診断については国が三分の一で残りは全部都が出すという制度をつくったんです。 宮地 一万平米以下の場合は全額出すと。 吉野 そうですね。マンションは規模は関係ないんですが、マンション以外の延べ面積が一万平米を超える建築物については大企業が所有している物が多いということと、全体の四%ということもあって、所有者に五分の一の負担を求めているということです。 最終的に二十七年度までに耐震化を完了したいという目標があるので、診断は二十五年度までを期限にさせてもらっています。 助成基準単価 宮地 助成基準単価というのはいろいろ複雑になっているようですが。 吉野 一応助成基準単価というのがあってそれで計算しますが、ただ小規模のものが少し値段が高くなる傾向になりますので、三千平米未満の場合は一階あたり一五万加算があります。これは東京都が独自に作ったものです。単価は国費が三分の一入るので統一的につくられた単価なんですけども、その単価でかつワンフロア当たりの加算金額があれば、耐震診断は出来るだろうということで、結果として所有者負担は無くなりますよと。 宮地 助成の上限を一応決めているけれど、その中で全部収まるであろうということですね。 吉野 そうですね。千平米以下が平米当り二千円、千平米を超え二千平米以下の部分は平米当り千五百円、二千平米を超える分は平米千円と一応決めているわけですね。 宮地 助成の上限はどのくらいですか。 吉野 五千平米の場合は単価は、例えば診断で見ますと、五千平米の場合上限で六百五十万まで助成金が出ますと。逆にいうと五千平米の場合は六百五十万あれば診断は出来るだろうということです。 小さい物件が多くなると当然割高になって来ますので、大きい物件だったらもっと値段も少なくなる可能性がありますので、やっぱり延べ面積の規模によって違ってくるということですね。 加藤 小さい物件の場合は階数による加算があるということですか。 吉野 面積だけでは診断が出来ないということが東京都の助成実績でも分かりましたので、今回各階当り一五万円の加算をしたと。 [...]